古民家再生
一般的に建て替えをした方が良いのでは・・・と思える様な古民家には、現代の家では使用されない大きく、立派な梁や柱がどっしりと佇んでいます。それら骨組を残し、耐震や断熱などの様々な措置を講じ、古民家が蘇ります。ここでは実際に古民家再生を行った2件をご紹介します。
酒田市 IS様邸
昭和初期に建てられた民家。建物の半分をリフォーム、もう半分は建替えの計画。建替え部分は施主様の生活様式に合わせて、当初の床面積より小さくなっているが、各室の広さ、収納スペースはきちんと確保されている。リフォーム部では家事の効率を考慮し、キッチン、ユーティリティ(家事室)、脱衣所、勝手口を集中して設けている。
解体前の外観
先代から受け継いだ古民家。向かって玄関より右を解体後に増築、左は内外装共にリフォームを行う。
基礎の再生
増築を行う部分には基礎が無く、石の上に柱が建っていた。解体後は底面がすべてコンクリートのベタ基礎に。
古材の再利用
過去に改築を行っているリフォーム部分は、再利用が可能な柱や基礎、床や壁の下地などを選定して利用。
構造材の再生
建替え部の新生座敷の骨組み状況。再利用する古材の梁は、小屋組みの際に取付。
完成
黒を基調とした外観は全体的に落ち着いた印象に。屋根既存に合わせて和瓦を設けた。
LDK
壁付型だったキッチンを対面型にしてリビングダイニングと一体化。食器棚や小物入れなどの収納も充実。
開放的な室内空間
リビングダイニングと座敷は建具で隔てている為、戸袋を設けて建具を収納することで、より開放的な空間になる。
敷座
現代の仕様になり甦った座敷は、解体前の家から再利用した古材の梁と囲炉裏が自然と馴染んだ空間に。壁には身体に優しい自然素材の「珪藻土」を使用。
鶴岡市 IH様邸
築150年のこちらの建物は、座敷をそのまま利用し他は骨組のみとした。リビングやキッチンダイニングは日当たりの良い南側に配置。水廻りも位置を替えて広さと収納を確保。各寝室は1階と2階に分けてプライベートを保てる事と、収納をたっぷり確保する事などを考えながらプランを作成。
解体前の外観
150年の間、部分的に改築されながら何とかここまで耐えてきた。
解体後の骨組
長い歴史の中で煤(すす)で黒ずんでいるのがわかる。
小屋裏の木組み
大きな梁が家全体を支えている。解体はせずにこのまま再利用される。
基礎の再生
再生した民家のこれから先を考慮し、ベタ基礎を設けた。
骨組みの再生
基礎完成後残った家の部分と新設の柱で新しい骨組みをつくる。
土台の再生
外周の骨組みが完成したら内部の土台も新しくする。土台には桧を使用。
屋根の再生
瓦は全て葺き替えをし、豪雪にも耐えられる強い屋根にする。
筋交い
柱と柱の間に筋交いを随所に入れ、耐震性を高めている。
土台
土台と残った柱をしっかり固定し動かないようにする。こちらも地震対策。
断熱
床や壁に次世代の断熱を入れ、広い日本家屋でも断熱が保たれる。
完成
150年間の形状を残しながらも、現代の仕様に生まれ変わった高性能リノベーション住宅。
リビングダイニング
リビングダイニングは元の家の梁や柱をインテリアとして活かしている。白と黒を基調にしてモダンな雰囲気のリビングに仕上がった。
座敷
唯一、そのまま残した座敷。間取りの変更はないが、床・壁・天井を全てやり直した。壁は漆喰塗りでそのままでも100年は持つことでしょう。
座敷の天井部分
座敷の天井部分の筋交いと構造材をあえて表に出し、無垢材のインテリア性を強調した施工。
寝室
小屋裏収納だった所を寝室にし、構造上必要な壁と梁を見せることにより、単調になりがちな部屋の雰囲気にアクセントをつけている。
建てられた方の声
今回の再生計画を色々な業者に相談したが、ほとんど建て替えを勧められ、やはり無理なのかと思っていました。しかし現代民家さんに相談した所、快く親身になって相談に乗っていただき、その後提案していただいたプランには自分たちの希望が全て反映されていました。あとは実際の現場どうなるか心配でありましたが、耐震補強や断熱工事もしっかりやっていただき完成した家を見て、代々続いた歴史ある我が家が新しく生まれ変わり、やはり民家再生をやって良かったと思うし、何より現代民家さんに出会えたことが本当に良かったです。