回復期リハビリテーション病棟とは
「脳血管疾患」または「大腿骨頚部骨折等」の患者さんに対して、日常生活動作能力の向上による寝たきりの防止と、在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行う「在宅復帰・職場復帰を目指す病棟」です。障害の出来る限りの改善を図り、退院後の生活を見据えた日常生活動作(食事・排泄・着替え・入浴など)の集中的なリハビリに取り組みます。看護師・介護士の他に医師やセラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)ソーシャルワーカーなどの多くの専門職種がチームとなって支援し、自立を目指していきます。
回復期リハビリテーション病棟では、朝起きてから寝るまでの入院生活すべてをリハビリと捉えています。それぞれの動作に目的をもって、出来る限りご自身の力で生活出来る様に患者さんに合わせた援助を行います。
日常生活動作訓練と呼ばれる「食事をとる」「洋服を着替える」「身支度を整える」「トイレへ行く」「お風呂に入る」などの行為の一つ一つが患者さんにとってはリハビリとなります。これらの動作を獲得していただけるように、日常生活の中でより近くにいる看護師・介護士が退院後の生活にむけて支援を行います。
また回復状況を病棟専門スタッフチーム内で情報共有し、患者さん・ご家族の方と一緒に自宅復帰に向けての環境整備に取り組みます。必要な方には専門スタッフと一緒に自宅環境の確認も行っています。
私たちが営む、日々の生活において当たり前のようにしている事を、障害を持ったからと断念せず、再び同じように過ごすことができるように、入院中から配慮していきます。
具体的な取り組みとしては…
摂食嚥下障害を有する患者さんへは、言語聴覚士と協働し、嚥下訓練を行っています。胃ろうや経鼻チューブから離脱して食事を口から食べられるようになった患者さんもいらっしゃいます。
排泄障害を有し、尿意がなく失禁している患者さんは時間を決めてトイレに誘導し、トイレでの排泄ができるようになった事例など、あきらめず、関わる事を大切にしています。
療養病棟
回復期リハビリテーション病棟とは異なり、身体機能の維持・増進や機能訓練の量が少なく、介助を要する患者さんが多い病棟ですが、そんな中でも患者さんの活動性や自立を促すように考慮したケアを提供できるようにしています。
特に高齢者の場合、ベッド上で全ての日常的な動作を済ませがちになったり、転倒の不安からじっとしていることが多いです。しかしそれでは逆に身体機能を弱め、体力低下や生活能力の低下を引き起こしやすくなり、家族の介護負担を増加させることにもつながります。長期療養を支えていく家族の疲労や負担の軽減も考え、個別訓練以外にも、趣味活動やレクリエーション、体操などの集団訓練を行い、起きて生活する習慣をつけることで、家に帰ってもベッドから離れて生活することが出来るようなケアをしています。
介助の必要な患者さんでも日中は毎日、私服に着替えて過ごしていただきます。
着替えを行うことで、生活にメリハリをつけることもできます。好きな服を選ぶことは、受け身になりやすい病棟生活の中で、自分で行う“自発的”な活動にもなります。日々の活動そのものが、リハビリとなり、退院後の生活につながっていきます。
患者さん自身の日常生活動作を拡大していくことに加え、家族への介護士指導(更衣訓練・移乗方法等)や社会資源・福祉用具の紹介等、できなくなったことへの代替サポートも行います。リハチームと情報を交換・共有しながらチームで関わっていくことを大切にしています。